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Q6. 砂防ダムは必要ないの?

 

 

砂防ダムの建設によって、土石流や土砂崩れの発生しやすい危険地域にも人が住むようになりました。しかし砂防ダムでは災害を完全に防ぐことはできません。日本全体で一年間に流出する土砂量は約二億立方メートルと推定され、どんな沢や谷でも土砂は流出し続けています。新しく砂防ダムを造っても遅かれ早かれ満砂し、土砂調節機能では土砂の流出を十分コントロールできません。砂防ダムによって土砂の流出を完全に防ごうとすれば、山頂まで砂防ダムを造り続けることになり、山全体をコンクリートで覆うことになりかねない悪循環に陥ります。

 

 土砂災害防止の為には、砂防ダムを造り続けることではなく、谷の出口近辺や扇状地の上部、山の急傾斜面の近くなど、土砂流出や土砂崩壊の起きやすい危険地域への人命に関係する土地利用や住居の進出を止めるべきです。砂防による防災機能の限界を考え、土砂の流出、崩壊を前提とした住み分けを考え、最も安全でお金の掛からない方法を総合的に選ぶべきです。2001年にできた土砂災害防止法の理念を実行することも必要です。

 

 また、土砂流出や山腹崩壊の最も良い防止方法は、古くから人々が行ってきた森林の育成です。山林は雨水を一時的に蓄えて徐々に時間をかけて放出する働きを持っています。雨水が一度に集中して流れなければ浸食作用も少なくなります。また、樹木の根は地面をしっかり固定して崩壊しにくくしてくれます。

 

 しかし、地球の地形や地殻変動の変遷から見れば、私たちが安全に住める場所は限られていることが分かります。最近の雨の降り方など地球温暖化の影響を考えれば、ハード対策の限界と、それによる開発が被害を大きくしている現実がはっきり見えています。

 

 また、国の財政も厳しくなる中、防災的に限界があるハード対策に使われるような選択は、国民が本当に幸せになるための費用捻出を妨げます。

 

このような事を是非理解していただきたいです。

 

渓流保護ネットワーク

砂防ダムを考える

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