霞沢簡単報告
8月15日、霞沢に行ってきました。 この冬から春までに崩れた工事用道路はまだ直されていませんでした。1番目の写真は最近の洪水で洗堀されてずり落ちている護岸ブロックです。
今まで何回か入ろうとしましたが、急な雨や危険な土砂ダム決壊などで途中までしか行けず、6年ぶりにゴルジュを抜けられました。前回の6年ほど前の時に比べ、かなり大きな土石流が出たとみられ、ゴルジュ上流のイワナ天国が壊滅的な影響を受けていました。この不安定な状態が続けばイワナの絶滅につながる可能性があるかもしれません。
これまでの土石流で下流に流されたイワナはほぼ2ヶ所だけに生き残っており(それぞれ20m範囲内だけ生息、数はかなり少なく10匹程度かもしれません)、再度の土石流があればゴルジュの下流まで流される可能性が大きくなります。
仮に計画中の砂防ダムができれば再遡上ができなくなり絶滅す可能性が出るかもしれないくらい深刻です(計画はスリット型のダムですが、土砂の崩れ箇所数の多さからみて詰まるのは容易に予想できます)。
今まではゴルジュの上流側には本流と平行して湧水小川がいくつも流れ込んでいましたが、今回はそれらが消滅しており、産卵場所がすっかりなくなっていました。本来ならこの時期には沢山の稚魚がみられるのですが、かなり深刻な状態でした。そして、その小川が全てなくなるような大きな土石流が出た跡がいくつもみられました。
10番目の写真は、立ち木が2回の土石流によって埋まり、幹から根が出たことを示しています。根が2ヶ所から出ていることは、下側は1回目の土石流で埋まった後発根したこと、その上のものは2回目の土石流で埋まり発根したことを示しています。いずれもそれなりの時間差があったことを示しており、この高さまで埋まるような土砂堆積は魚にとっては深刻だったに違いありません(写真11番目は土砂堆積の跡、河床は元の高さに戻りつつあります)。
またゴルジュの中は30年間通って一度も見たことがない滝が現れていました(写真3番目)。そして、ゴルジュ内には新たな滝ができて決壊した跡が数箇所あり、土石流のすさまじさを見てとれました(ゴルジュ内の土砂調節効果、巨大砂防ダムと同じ機能を持っている)。
今回の調査行では、川は絶えず変化しているということをあらためて知ることができました。ただし、ゴルジュの両サイドの壁と土砂調節機能は相変わらず健在という印象を持つこともできました。今回は水量が少なく、思ったより簡単に遡行できたと思いますが、もし水量が若干多ければ結構てこずるところも出たと思いました。
いずれにしても今の霞沢は不安定な時期に来ていることは確かです。このような状況の中で建設中の砂防ダムは、やはり問題が大きいのではと改めて感じた次第です。再度ダム建設の見直しを求める必要があります。
この時期の渓流歩きは思いがけない恵みがあります。一つはきのこ(ヒラタケ)、もう一つは草花の美しさです。今回、イワナは保護対象にし、ヒラタケ汁にて満足としました。