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松本市・水殿川の深層崩壊現場

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8月17日、定期的に調べることにしている15~6年前に起きた水殿川の深層崩壊現場へ行ってきました。

この崩壊で本流に天然ダムができ、それが決壊し下流にあった営林署小屋と取水口が土砂の下になりました。なお大量の土砂がダム湖流れ込みに堆積し、河床を上げたことでざる川となり、流水が伏流してしまい流れの連続性が奪われてしまいました(ダムには流れ込み付近から上流にかけて河床を上げる特徴がある)。上流に造られた取水口で水を取られてしまうことも大きな原因でもあります。

当時、「渓流保護ネットワーク」と「水と緑の会」の連名で東京電力に流れの連続性を確保するように要望書を提出し、何回かの交渉でダム湖流れ込み付近の浚渫(開削)を実施してもらった経緯があります。

写真は2009年と2018年(今回)のものですが、十数年の時間経過で自然に緑化が進み、今は最上部の切り立った岸壁だけが目立つようになっている状態です。あと6~7年もすればこの岸壁にも針葉樹が生えてくることでしょう。

国交省は深層崩壊を強調することで砂防工事の正当化を図ろうとしていますが、山の斜面をよく見れば、今は緑化しているところが過去に起きた深層崩壊地であることがよく分かります。侵食や崩壊が生じることで尾根筋や谷が形成されていることは明らかです。つまり土砂を出し続けることは自然現象、地球の営みでもあります。この様なあたりまえの現象に大切な予算を投入する砂防・治山行政の在り方を見直すべきです。

今回分かったことは、この7月豪雨で幾つかの支流に蛇抜け(鉄砲水)が生じたことで、川全体のイワナ環境に大きな打撃を与えたことです。特に取水口から上流はその影響が大きく、数年はイワナ釣りは自制したほうがよいと思われるほど減少率が大きいです。

渓流環境は絶えず変化しており、大量の土砂生産が生じると滝ができたり埋まったり、川の景観まで変えてしまいます。長ーい年月をかけて変化する川の環境に適応してきた魚がイワナです。彼らと楽しい関係を維持したいなら、危機的状態時には彼らへの労りも必要となります。また彼らの生命力は強い、そんな力に期待を込め数年後を楽しみに沢を後にしました。

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