霞沢砂防ダム建設現場視察 -2-
※画像は左から1−5
11月21日に再度霞沢砂防ダム建設現場の流れ切り替え作業現場の視察に行ってきました。今回は松本砂防事務所出張所長の川合さんと他1名も来ていました。所長から当日の作業工程について説明を受け、昨日からの私の沈殿池に対する問題を指摘しました。
午後2時頃、流れの切り替え作業が始まり、沈殿池の効果を見るために少しずつ様子をみながら、濁り度と濁り時間を調整していました。一気に流さずこのようなやり方は評価できます。最初の段階で濁りがかなりきつく、沈殿池では処理しきれなくなったため作業を一時中止していました。写真2.3.4は上流側から順番に沈殿池の濁りを同時期に撮ったものですが、下に来るに従い濁りが薄まることが分かります。つまり沈殿ろ過は機能しているということです。しかし、濁りの量や時間が増えれば3基目でも沈殿ろ過できないことも示しています。
濁りの量は定性的で、流す事をストップして10分くらいで水透明度が回復するくらいの量です。これを2度ほど繰り返した結果、沈砂池の効果はあるものの下流に流れる濁りを軽減することは難しいことが分かりました。今の沈砂池条件では、濁りを流す時間条件を決めながら、時間をかけながら徐々に安定させることしか方法はないことも分かりました。所長は2日ほどは時間をかけて進めたいと言っており、私も確かにそれで進めるしかないと思いました。
画像は左から6−10
また、写真のように右岸に掘りこみスペースを設け濁りを沈殿させることを考えてもいました。ただ私としては、もう一つ同じくらいの沈殿池を設置する方が効果が出るのではと伝えておきました。これは昔、東電の排砂工事の時の経験です。写真5.6番目は掘りこみ(本流の流れを迂回させるところ)に少しずつ流しいれている様子ですが、この場合も一気に流すと処理しきれない濁水が流れてしまうため徐々に進める事にしていました。写真7は掘りこみに溜まった濁水の処理水出口です。今回は徐々に流したのでこのように伏流しています。この日は最終的にどうなるかを確認はできなかったですが、後日下流の産卵床を見れば濁水の出方を確認できるはずです。
徒歩で帰りながら濁水の流れる下流の河床の状態を撮ったのが8.9の写真です。流れの隅にはうっすらと泥が付着しているのが分かります。このまま下流に流れると問題が大きいと思いながら下っていくと驚く現象が見られました。それは高さ23mの霞沢川第一砂防ダムを下ったところの川の水は透明であったということです。つまり今の濁りの量と時間を制御して流す条件ならば、ダム伏流の作用によってろ過されるという事です(写真10)。だからと言ってダム建設を認めることではないですが、このような現象を事実として認識する必要はあります。やはり後日に下流部の河床を見に来なくてはなりません。
前回のブログにも書きましたが、この日も遡上魚の確認をしたら60cm級を1匹しか見ることができなかったのです。本流の梓川も見てみましたが、やはりいません。原因はあると思うのですが理由がはっきりとわかりません。一つの仮説を挙げるとしたら、梓川も霞沢もここ10年くらい産卵時に何らかの工事が入っていました。つまりこの時期に濁り水を垂れ流してきたことで、卵の負荷率が下がり切ってしまったのではないかという事です。水量が下がる時期は河川工事がやりやすくなりますが、1・2年の短い期間なら回復も早いのですが、長期間のダメージは大きいという事ではないかと考えます。